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2014年5月18日 (日)

かたつむりはブラックボックス

島田正路・著『古事記と言霊』によると、伊耶那岐/伊耶那美による神産みは、コトタマ五十音が生み出される過程と、そのコトタマ五十音そのものをも指しているということらしいのですが、五十柱すべての神名に一音ずつコトタマが対応しています。

コトタマと古事記の神名の対応はこのようになっています。わたしが独自に発見した裏コトタマと共に、Liteのほうにまとめましたので、リンクを貼っておきます。

【参考リンク】
裏コトタマ - あめのみくりや Lite -

今回はその中でも、後半39番から47番目に産まれた神である、以下の九神について取り上げます。

【ヌ】鹿屋野比売の神
【ラ】天の狭土の神/【サ】国の狭土の神
【ロ】天の狭霧の神/【レ】国の狭霧の神
【ノ】天の闇戸の神/【ネ】国の闇戸の神
【カ】大戸或子の神/【マ】大戸或女の神

これらの神名は、音波が耳から入ってきて、脳に伝わる過程を表しています。受信側です。前半の神産みは発信側なのですが、まだちょっといまいち理解できないので、比較的わかりやすいこちらからやります。

耳の仕組みの図はWikipediaからお借りしました。

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【ヌ】鹿屋野比売の神 [かやのひめのかみ]

音波が外耳道を通って鼓膜に伝えられる。

鹿屋野の鹿屋とは神の家である言葉の意で神名[かな]()であります。真名[まな]() が口で発声されて神名となります。その神名が空中を飛んで大山津見である言葉となり、山が終わって鹿屋野の野に下りてきた、という洒落た表現であります。 山から野に下って、そこで人に聞かれることとなります。耳の鼓膜を叩くので野槌の神とも言っています。言霊【ヌ】は貫・抜く・縫う・温もり等の言葉に見られま す。

『古事記と言霊』より

野槌の神の「野」は、野の神の野。

五十音中、神名[かな]は【フモハヌ】四言霊だけであり、すでに発声された言葉として、人の身体とは離れた外界を漂っているために、それぞれ風、木、山、野の神として、自然物の名がついているのだそうです。

大自然から、鼓膜を通して、再び人間の内部に戻っていくときの音が【】。【】は霊が現れるときの音。自分以外の外部の存在を初めて認識するときの音、なのかもしれません。だから名状しがたき、不気味な響きのある音ですよね。

「ねこ」を「ぬこ」って呼ぶと謎の生命体感アップw

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【ラ】天の狭土の神 [あめのさつちのかみ]
【サ】国の狭土の神 [くにのさつちのかみ]

音波は鼓膜を振動させ、中耳内の3つの小さな骨(耳小骨;槌骨・砧骨・鐙骨)に伝わる。

狭土[さつち]とは耳孔の狭いところの椎[つち](槌)の意。天は霊を、国は音を分担していることを示しています。言葉が耳孔の狭いところを入っていく様を言います。言霊【ラ】は螺の字が示すように螺旋運動のことです。言霊【サ】は刺す・指す・差すが示すように一定の方向に向かっての浸透状態であります。

『古事記と言霊』より

文字通り槌骨という骨がありますね。狭い耳の孔の中の、小さな槌。読み方はそれぞれ槌骨[つちこつ]、砧骨[きぬたこつ]、鐙骨[あぶみこつ]。槌と砧はいまいち納得できないのですが、鐙骨だけは一目瞭然、見て納得の形状です。

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■■【ロ】天の狭霧の神 [あめのさぎりのかみ]
【レ】国の狭霧の神 [くにのさぎりのかみ]

振動が伝わると、蝸牛[かぎゅう]の中にあるリンパ液が振動し、有毛細胞がその動きを感知する。

天の狭霧・国の狭霧の狭霧[さぎり]とは、言葉の霊と言とが霧のようなバイブレーションとなって耳の孔の奥へぐるぐる回りながら入り込んでいく様であります。言霊【ロ・レ】は共に螺旋回転の状態です。

『古事記と言霊』より

振動、すなわちバイブレーション。ぐるぐる回る螺旋運動、すなわち蝸牛[かたつむり]。

『古事記と言霊』には耳の内部構造のことまで詳しく書いてないのですが、実際に音が聴覚器官に伝わる仕組みを調べてみると、ぴったり一致しているので「これは…!」と思い、記事に起こした次第です。

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【ノ】天の闇戸の神 [あめのくらどのかみ]
【ネ】国の闇戸の神 [くにのくらどのかみ]

有毛細胞は感知した動きを電気信号に変換し、蝸牛神経に伝える。

細い耳の孔の奥に入り込んだ言葉は、その霊と言との波動が闇[くら]がりの戸に突き当たります。聴覚器官のことです。そこで言葉は改めて復唱されます。言霊【ノ・ネ】は宣[の]る・音[ね]に通じます。有音の神名である言葉が頭脳内で真名に還元されるために、まず音[ね]が宣[の]られることとなります。言霊【ノ】 は宣る・乗る・退く等の言葉に、言霊【ネ】は音・値・根・願う等に見られます。

『古事記と言霊』より

復唱というのは、有毛細胞に伝わった波動を、電気信号に変換する働きのことでしょうか。

そして、これはわたし独自の解釈ですが、闇戸[くらど]って、ブラックボックスの意味合いもあるんじゃないでしょうか。どのようなメカニズムになっているのかはよくわからないが、とりあえず入力すれば、出力される。しかし、その過程は闇に包まれているという。

解剖学的な知見に基づいた蝸牛の仕組みについての説明は19世紀から行われてきたが、蝸牛が硬い殻に覆われているため実験的な検証は困難であった。 1980年代ごろよりようやく生体外での実験が本格化したものの、その詳細な機構や機能については依然謎に包まれた部分がある。

蝸牛 - Wikipedia より引用

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【カ】大戸或子の神 [おおとまどひこのかみ]
【マ】大戸或女の神 [おおとまどひめのかみ]

電気信号が蝸牛神経から聴覚中枢に伝えられ、それが音として認識される。

言霊【カ】は掻き・掛く・借りる・貸す等に見られ、言霊【マ】は巻く・混ぜる・丸める等で考えられます。有音の神名が耳で聞かれ、復唱され、入ってきた言葉がどんな 意味を持っているか、と頭の中で掻き混ぜられ、煮詰められます。カマすなわち釜は物を煮詰める道具です。そのことによって言葉の内容が次第にはっきりし てきて、有音の神名が再び真名に還元されていきます。そして大戸或子の神は言葉の霊を、大戸或女の神は言葉の言(音)を受け持っています。

耳に入ってきた言葉が言霊【ノ・ネ】(宣音)で復唱され、次に言霊【カ・マ】でその内容・意味を「こうかな、ああかな」と大いに戸惑いながら了解されていく働きに対して、大戸惑[おほとまどひ]という男女神の名を当てたことなど誠に洒落ているではありませんか。

『古事記と言霊』より

体外から自分の中に「ぬっ」と侵入してきた怪しい[]の正体をここで突き止めていくプロセス。それによって次の【】()へ繋がっていきます。名をつけることが、正体を明らかにすることにほかならないからです。

しかし、ここで思うのですが、人が話した言葉を聞く、日本語ならそのまんま日本語として認識するってことはそんなに難しいことかなぁ。大戸惑いするほどのことなのだろうかと、ふと疑問に思いました。

自分の中に湧き上がってくる未知の想いや感情、未知の状況などを把握して言語化することのほうが難しくないですかね?こっちを「大戸惑い」というならまだわかるんだけどなぁ。

【カ】大戸或子の神/【マ】大戸或女の神の裏コトタマも妹背になっていて、父韻の【ヒ】於母陀琉の神/【ニ】阿夜訶志古泥の神であることは、以前書きました。父韻ですので、色と音と数の法則の色相環にも、その名が記述されています。

【関連記事】
あめのみくりや:裏コトタマ?もしかして大発見しちゃった?
あめのみくりや:裏コトタマについてさらに詳しく

【参考リンク】
色と音と数の法則(色相環) - あめのみくりや Lite -

裏コトタマ同士はけっこう似た意味合いになる。だから【カマ】の働きと【ヒニ】の働きは関連し合っていて、【ヒニ】のほうはまさに、心の裏側にこびりついたような名状しがたきものが徐々に煮詰まって、あるときその全体像がパッと心の表面に閃くような力動なのです。煮詰まっていくほうが【ニ】阿夜訶志古泥の神、閃くほうが【ヒ】於母陀琉の神と、陰陽の対になっている。

そのように煮詰める道具がカマ】ってことですよね。同音異義語でもありますが、鎌は刈り取る、収穫する道具。心の表面に完成した収穫物【ヒ】を刈り取る鎌。その根が【ニ】。【ヒニ】が中身で、【カマ】はその道具という感じか。

これらはすべての父韻とその裏コトタマに対しても適応できるかもしれません。また別記事で取り上げたいと思います。

話が少しそれましたが、声といっても、実際の声とは限らないなとふと思いました。心の声や霊の声を聴くときも、聴覚中枢って関係あるんだろうか。テレパシーとか?

そういうことも視野に入れて考えたほうが、なんかしっくり来る気がするんですよね。

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天名(あな):先天の十七音(父母音)【ウアワヲオエヱ・チイキミシリヒニ・イヰ】

未鳴/真名(まな):想いが言葉として組まれていき、発声される過程の、まだ発信者側の脳内や口腔内にある言霊。【タトヨツテヤユエケメ・クムスルソセホヘ】

神名(かな):発信者の元を離れ、すでに言葉として発声されて、空中を飛ぶときの言霊。【フモハヌ】

真名(まな):受信者の聴覚器官に伝わって、言葉として認識されていく過程の言霊。【ラサロレノネカマ・ナコ】

『古事記と言霊』本文中の挿絵をそのまま掲載します。

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【参考リンク】
日本語の起源・言霊百神

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